10 // 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30. // 12

「この森で、天使はバスを降りた」を勝手に解釈する 

 本日のお題は、しばらくぶりに映画作品の感想です。
 「この森で、天使はバスを降りた」
 好きな作品なのですが、以前、TVで観た作品でして、最近観なおしてみてけど、やっぱり印象が変わらなかったというか…
 邦題が印象的で、しかもなかなか味わい深い気がします。

 The_Spitfire_Grill.jpg

 物語は、刑期を終えて刑務所を出た若い女性が、アメリカの片田舎の街にある小さなレストランで働き始めるところから始まります。

 今回の記事はネタバレありです。
 別に構わんよ、という方は、下の「追記の開閉」から続きを読んでいただければ幸いです。


 
 いつも応援をいただきましてありがとうございます。
 映画には文法とでも呼ぶべきものがあると思います。
 その1つは、別府が「正義のバランス」と呼んでいる原則です。
 「ゆえなく人を殺した者は、作品の中で死ぬ(死を暗示される)」「善行をなした者は、報われる」といったシンプルなバランス感覚です。

 だからアナキン・スカイウォーカーが、ジェダイ館で子供たちを殺したとき、ダースベーダーの死は、必然となります。

 Anakin.jpg

 椿三十郎は、正義の側を助けることで、勝利を得ますが、その過程で多くの人たち(たまたま悪人の家来だっただけの人とかも)を殺していますから、最後は野垂れ死にしかない放浪の旅を続けるほかありません(若侍たちが1人も人を殺していないことと対照的です)。

 もちろんこのバランスは、作品によって、少しずつ崩されていたりして、むしろ印象に残る名作には、このバランスが微妙に崩れているものが少なくありません。バランスの崩れが観る者に不安を与える一方で、それを超える説得力が、物語の印象を忘れがたいものにするのでしょうね。

 でも「この森で、…」は、なんぼなんでも、バランス崩れ過ぎでしょうと思っちゃいます。
 主人公の女性パーシーは、過去に人を殺したという設定ではありますが、すでに刑務所でその罪を贖っています。そして作品の中では、彼女は基本的に、すべての人に対して惜しみの無い善意を持って接していて、全ての人に良い結果をもたらしています。なのに彼女自身は、何一つ報われることなく悲劇的な死を迎えます。

      MC900423852_20140727124952e0b.jpg

 登場人物の人物像は皆、手際よく巧みに描写されていて、作品の作り手の熟練を感じさせるのですが、その分、このバランスの悪さが一層目立つのです。ラスト近くに至っての、彼女の唐突な死に、ポカンとしてしまいます。

 そこでポカンとしながら考えた別府の解釈が2通りです。
 その1
 パーシーは人間ではなくて、実は天使である(邦題にも、そう書いてあるし)。
 だからパーシーに人間のルールは適用できない。
 罪なくして殺されたイエスを思い出させます。
 天使として、皆を救ったのだ。
 でも、キリスト教的宗教観に、馴染みのない別府には、この解釈、どうもしっくりこない(キリスト教的宗教観を持った方に、しっくりくるかどうかは、さらに不明です)。

      MC900423828_201407271249513ca.jpg

 そこで、その2
 これは奇跡の物語なのです。
 パーシーの望みがかなう方法は、奇跡しかなかったから…
 パーシーは死に、そして作文コンテストの優勝者の女性に生まれ変わった。
 だから物語の最後に、バスに乗って小さな町にやってきた優勝者の望みは、かなうことの無かったパーシーの望みと一緒でした。
 「なんとしても子供を守り」「この町で人生をやり直す」
 天使は、2度、この森で、バスを降りたのです。
 かなり無理めな解釈ながら、個人的には、ちょっとすっきり(笑)


 
 いつも応援をいただきましてありがとうございます。

 別府葉子フェイスブックページも開設しております。よろしくお願いいたします。

 本日の1曲は「ローズ」です。

 

スポンサーサイト

[edit]

trackback: -- | comment: 2

« 予告編 「百万本のバラ」  ぜひ聴いてくださいませ  |  「北ウイング」 »

この記事に対するコメント

NoTitle

お初にコメント致します。
私もこの映画の結末は、ヒロインが報われないなぁ、と思っておりました。
ですが今、原題が「Spitfire Grill」と書かれてるのを見て、これがこの結末の暗示なのではないかと思うのです...。
確かキリスト教的な観念だと「神様が造物主で聖職者が羊飼いで人間が羊」だったかと思います。ここでいうと、ヒロインは「羊」の立ち位置ですね。
ところで、この映画のタイトルを和訳すると「せっかちグリル」になるのですが、「grill」には「尋問・詰問」という意味もあります...。そういう意味も含めて考えると、ヒロインは「世の中の偏狭な判断が元で、短命にして天に召されてしまった」と読めるのではないかと思うのですよ。
私もこの映画を2度観たのですが、だいぶ前に観たので細かいところは覚えてません。解釈が間違ってたら、すみませんです。
それでは、ライヴ頑張って下さいね!

mewtz #Tvu428go | URL | 2014/07/28 02:08 * edit *

ありがとうございます

初めての書き込みです。いつも素晴らしい、うた、をアップして下さりありがとうございます。この映画私も大好きな映画で、「正義のバランス」原則には、おお!。です。
北海道はいつ頃いらっしゃるかな。
お元気でご活躍を。

酒井研二 #MBLqw2WI | URL | 2014/07/31 12:47 * edit *

コメントの投稿

Secret