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別府の考え ~ シャンソンとは ~ その9 

 別府が目指しているのは…
 曲の持つイメージを、ありのままに再現することによって、その曲が本来持っている魅力と輝きを伝えることです、というお話まで来ました。
 でも「曲の持つイメージを、ありのままに再現する」って、具体的にはどういうことなんでしょう。

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 フランス語の原曲を、オリジナルのアレンジのまま、フランス語で歌う。
 ありうる方法ですよね。
 実際に、別府は、ライブで、そういう形で歌うことがあります。
 文字通り、原曲をそのままに再現するわけです。

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 この方法、歌い手の力量を問われる方法とも言えますね。
 「オリジナルのアレンジのまま、原語で歌う」というのは、オリジナルを歌っている歌手のコピー(模倣)をするということではありません。
 いわば、そのオリジナルの譜面を読み込んで、自分のものとして歌うということです。
 ですから、そこには当然、歌い手の個性というものが反映され、その個性に魅力がなければ、曲そのものの魅力を損なう結果となってしまいます。
 歌い手の力量が問われるというのは、こういうところです。

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 といった点はともあれ、この方法には、曲の持つイメージを、ありのままに再現するという観点からみて、ハッキリした弱点があります。
 「曲の持つイメージ」というものには、曲を聴いたときに、聴き手の頭の中に、どんな情景、どんなストーリーが浮かぶかという側面が大きいのですが…
 外国語の曲を原語で歌った場合、大抵の場合、多くの聴き手に歌詞の意味が伝わらないという問題があります。
 歌謡音楽が、そのメッセージを伝える上で、歌詞の意味内容と、それ以外の部分とは、車の両輪のような働きをします。
 ですから、その一方が欠けるのは、原曲が描き出している情景の再現という点では、不十分なものとならざるを得ません。

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 そこで日本語詞(あるいは訳詞)をつけるという発想が浮かびます。
 ところが、そうすると今度は、フランス語と日本語とが全く異質な言語であるために、歌詞を単純に、フランス語から日本語に置き換えるだけでは、原曲のままのメロディー、テンポ、リズムで歌うのが難しくなってしまうという、このミニシリーズその4で指摘した問題が発生してきます。
 この点については、日本語詞を付けた上で、原曲のメロディーを変えずに歌おうと思えば、そう歌えるように日本語詞を付けるしかありません。
 言葉数や、言葉の音数、イントネーションといったものを考えて、歌詞の方を、曲に合わせて調整した上で、音符に割り当てるわけです。
 いわば、パズルみたいに。
 ですから訳詞というのは、ある意味、翻訳とは、まったく別の種類の作業なのです。

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 でも問題は、それだけではありません。
 フランス人になら、その言葉が意味するイメージが通じるけれど、その言葉を日本語に訳しても、日本人には、そのイメージは伝わらないというケースがあります。
 早い話が「パリ〇区」と言えば、多くのフランス人は、その地区の特徴的なイメージが思い浮かぶと思いますが、大抵の日本人には、ただの外国の首都の行政区の1つに過ぎません。逆に「浅草」と言われて、その固有名詞が喚起させるイメージを理解できるフランス人が、ほとんどいないのと同じことです。
 こういったケースで、原曲の歌詞のイメージを、聴き手に伝えるために、どんな日本語を持ってくればよいのかは、なかなか答えのでない極めて難しい問題となってきます。

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 現実には、こういった、いくつもの問題を、一気に解決するために、日本語詞は、しばしば訳詞ではなく、原曲の歌詞の内容とは異なる日本語詞が付されています。
 伝える内容に制約がなくなれば、言葉の選択やあてはめは、ずっとやり易くなりますからね。
 この方法、解決のための1つの方法ではありますが、「曲の持つイメージを、ありのままに再現する」ことにこだわった場合、疑問も残る解決法だと、別府は思います。

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 ですから、別府の中でも、曲の持つイメージを、ありのままに再現するためには、どうすればよいのかという問題について、正解は見つかっていません。試行錯誤が続いているのです。
 そもそも、正解ってあるのかな…

 (つづく)


 
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 本日の1曲は「フレディもしくは三教街 ~ロシア租界にて」です。
 原曲を、オリジナルのアレンジまま、原語(日本語)で歌い、歌い手の力量を問われているの図です(笑)

 

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この記事に対するコメント

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# |  | 2014/03/16 14:56 * edit *

NoTitle

力量が発揮できている最高の一曲ではないでしょうか。(笑)
外付けのスピーカーや、ちょっとましなヘッドフォンで聴くと、
僕はフレディになってしまい、
遠い昔にあなたと三教街や北京の胡同を歩いたような、
そんな気持ちさせられます。
原曲を凌駕している図だと、思っています。

たかのつめ #9GE0tqGA | URL | 2014/03/16 19:33 * edit *

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# |  | 2014/03/17 10:42 * edit *

こんにちは

素敵な歌声を聴かせていただきました。
愛媛県に来られたら聴きに行きたいです。

笹峰霧子 #pBbfucYE | URL | 2014/03/17 10:48 * edit *

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# |  | 2014/03/17 11:21 * edit *

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# |  | 2014/03/17 13:02 * edit *

NoTitle

>早い話が「パリ〇区」と言えば、多くのフランス人は、その地区の特徴的なイメージが思い浮かぶと思いますが、大抵の日本人には、ただの外国の首都の行政区の1つに過ぎません。逆に「浅草」と言われて、その固有名詞が喚起させるイメージを理解できるフランス人が、ほとんどいないのと同じことです。

すごくわかりやすいお話です☆
そうですよね…「パリ10区」と言われて、「えーと、旅情溢れる私が大好きな北駅と東駅があって、サンラザール病院跡があって、北ホテルっていう大昔の映画があってですね…」と答える日本人は、単なる「変わり者」でしょうね☆
原曲の心を残しながら、自分の思いをそれに乗せて伝えるのは…ああ、難しそうです☆

お歌の歌詞はハンカオ…漢口の事かな?
確か昔は、あそこには租界があったのですよね…☆

Michiru #- | URL | 2014/03/17 21:37 * edit *

葉子さま♪

答は、簡単?!

曲も詞も、まるごと自分で作っちゃえばヨシ!(無責任な、、、)

やっぱ歌詞は日本語ぢゃなきゃ日本人にゃ伝わり難いょ~(あくまでも個人的見解ですが)


Gin #- | URL | 2014/03/17 23:44 * edit *

NoTitle

初めてコメント失礼いたします。

料理と一緒ですな。
もともとの素材の“味わい“を どう表現するか・・?
そして それが どうお客さまに伝わるか?

私も 常に その事が頭にあります。

プロである以上 アマチュアの音楽と一緒では駄目ですし、素人と同じ料理では駄目なんですよね~~。
ァ===!難しいですな~~~。

美味しいだけの料理を作っていればいい・・・?
上手なだけ歌声さえ聴かせればいい・・・?

まあ 考え続けて 日々表現し続けることで
たどり着けるんかな~~っと 思っとります。


しおたに みつはる #0FtB7ubA | URL | 2014/03/18 03:20 * edit *

NoTitle

 余談ですが、日本古典でも、近松門左衛門の詞章が極めつけの名文ですが、三味線や文楽人形操作の発展に合わせる為に詞章が改変され、現在の舞台は問題が多いものと鳴っています。また、オペラを日本語上演すると、以外に聞き取りにくい、といったところもあります。雑談でした。
 別府さんの基本的なお考えが分かって、公演への理解度がアップしました。気体しています。

感動人 #sSHoJftA | URL | 2014/03/18 07:28 * edit *

Re: 鍵コメA さんへ

こんにちは。

若年層それもすごく若い層の取り込み策ですね。

面白いかもしれませんね。いままで興味のなかったジャンルです。

コメントありがとうございました。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/21 10:27 * edit *

お久しぶりです。

 歌詞の問題はけっこう深刻です。

 ドイツの民謡で「Muss i den (ムシデン)」というのがあります。邦題は「別れ」とか「送別」だったように思います。
 映画「Uボート」で戦地へ出港する主人公たちに軍楽隊が演奏する事から判るように、ドイツでは出征兵士を送る歌に使われます。
 日本では全共闘世代を中心に歌声喫茶で歌われた送別の歌で知られています。

 この歌詞、日本語では卒業や退職などの壮行会に相応しい、友人と友人のしばしの別れを惜しむ内容なのですが、原語の直訳はニュアンスどころか意味が違っていました。
 男が訳あって女を捨てて旅立つようなイメージです。だからこそ、出征兵士を見送るときの歌になったんでしょう。

 難しいですね、歌詞は。映画の字幕や吹替脚本でも大変な労苦がいるのに、ましてやメロディに合わせなければいけないから。
 一部の熱心なシャンソン愛好者から、「その翻訳歌詞はシャンソンを冒涜している!」「おまんはシャンソンを解ってない!」と執拗に批難する輩もいるでしょう。

晴雨堂ミカエル #- | URL | 2014/03/22 16:27 * edit *

Re: たかのつめ さんへ

ありがとうございます。

もともとこの曲を歌われている、さだまさしさんの歌声好きなんですよね。

日本屈指の高い表現力を持った方だと思います。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/29 15:37 * edit *

Re: 鍵コメI さんへ

どういたしまして。

人に歌われてこその楽曲と思います。

歌ってくださいませ。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/29 15:42 * edit *

Re: 笹峰霧子 さんへ

こんにちは。

愛媛県は、この1~2年のうちにライブをしたいなと考えています。

ご期待くださいませ。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/29 15:45 * edit *

Re: 鍵コメO さんへ

こんにちは。

ありがとうございます。

別府も好きな曲なんですよね~ 聴くのも歌うのも。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/29 15:50 * edit *

Re: 鍵コメR さんへ

こんにちは。

そうですね、大音量でのヘッドフォンは耳には良くないですからね。

別府も気を付けるようにしています。

曲を聴き取ったりで、使う機会は多いですから。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/29 15:57 * edit *

Re: Michiru さんへ

こんにちは。

パリの街がお好きなのですね。

ハンカオは、そうです、漢口ですね。

三教街とは、漢口のロシア租界に、キリスト教、ユダヤ教、ロシア正教、3つの教会があったことから、そう呼ばれたと何かで読んだ記憶があります。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/29 16:07 * edit *

Re: Gin さんへ

こんにちは。

1つの解決ではありますね。だから別府も自分で作った曲を歌ったりするわけですが。

ただ自分が良いと思ったものを、人に伝えたいという情熱もあるわけです。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/29 16:11 * edit *

Re: しおたに みつはる さんへ

こんにちは。

しおたに みつはる さんのお店、興味津々なんですよね~

気軽に寄せていただくには、少し遠いのですが…

いつかヒョッコリ立ち寄らせていただくつもりです。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/29 16:15 * edit *

Re: 感動人 さんへ

こんにちは。

変わっていくものは、その必要があって変わるのでしょうが、また別の問題を生むということでしょうか。

別府がステージで披露するものについて、「なぜ」「どうして」をいろいろ想像していただいたりするのも楽しいかもしれません。また機会がありますように。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/29 16:23 * edit *

Re: 晴雨堂ミカエル さんへ

こんにちは。

外国語のオリジナル曲をカバーする場合に、歌詞の内容に特にとらわれない日本語詞をつけることは一般に行われていることのように思いますが…

結果として、肯定的な評価も、否定的な評価もあるでしょうね。

別府葉子 #- | URL | 2014/04/06 17:38 * edit *

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