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別府の考え ~ シャンソンとは ~ その8 

 原曲の持つイメージを、ありのままに再現することが出来れば、それだけで曲が本来持っている魅力と輝きは、必ず伝わるはずだと別府は考えています。
 なぜなら、日本には、それを受け入れるだけの成熟した聴き手が存在しているからです。
 成熟した聴き手とは、どんな人たちでしょうか…

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 ある時代に、特定の音楽が流行するというのは、偶然ではないと思います。
 そのとき、その音楽が多くの人から支持されることには、それなりの理由があるはずです。

 日本の大衆音楽における最も特徴的な音楽の1つである演歌、これがもっとも流行したのは、いつ頃だったと思いますか?
 別府は、それを簡単に調べる方法として、日本レコード大賞で、どの時代に、どんな曲が受賞したかを調べてみました。
 1980年代前半(1980~1984)、演歌は5年のうち4年、レコード大賞を受賞しています。
 1980年代後半(1985~1989)は、レコード大賞こそポップス系に譲っていますが、最優秀歌唱賞はすべて演歌が独占しています。
 そして1990年からは、レコード大賞が演歌部門とポップス部門に分かれるのですが、この分類は1992年までで、その後、演歌がレコード大賞を受賞したのは2度だけです。
 1980年代から1990年代初頭までが演歌が隆盛を誇った時代と言えそうですね。

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 この時代というのは、高度経済成長の時代が終わり、経済は安定成長期からバブル期を迎え、そしてこれが弾けて崩壊するまでの時期と、ほとんど重なります。
 日本が経済大国化したというだけでなく、その物質的な豊かさが人々の中に実感として感じられるようになり、世相が享楽的な色合いを強めていった時代と言えるでしょう。
 そんな世相、つまり日本が世界をリードしているという実感を感じるような時代が生んだもの、それはまず、日本人であることの自信と誇りでしょう。時代は、日本的なものを当然に求めたはずです。
 そして同時に、物質的な豊かさが生む生活様式の変化、それは西洋的なものへの変化を意味していて、日本的なものが徐々に失われていく日常の中で、その反動のように日本的な美意識、精神性といったものへの渇望のようなものが生まれたとしても不思議ではありません。
 時代は「演歌」だったのです。

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 翻って現在はどうでしょう…
 2008年以降、昨年までの6年間、レコード大賞をとったのは、たった2つのグループだけ、EXILE と AKB48 とによる独占状態です。
 両者の共通点は… えーと… 人数が多い(笑)
 この状況が示しているのは、楽曲が売れる歌手(グループ)は存在しても、楽曲が売れる音楽(ジャンル)は存在しないということじゃないでしょうか。
 広く支持されている音楽(ジャンル)というものがあるなら、そこから次々、より新鮮な、魅力的な楽曲が登場してきて、レコード大賞の顔ぶれはどんどん変わるでしょうから。

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 つまり皆が、同じ方向を向いているんじゃなくて…
 1人1人、誰もが、「自分が心から好きなもの」あるいは「自分が本当にいいと思えるもの」を求めている時代なんじゃないでしょうか…
 それを言葉でまとめてしまうなら、趣味と嗜好の多様性を前提とした社会ということになるんでしょうね。
 (あ、だから、どっちも人数多いんだ!)

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 そこにいるのは、流行を追うよりも、自分が良いと思えるものを受け入れてくれる聴き手だと思います。
 だから別府は思うのです。
 別府は、曲の持つイメージを、ありのままに再現することだけを考えよう。
 それを再現して、その曲が本来持っている魅力と輝きを伝えよう。
 それを受け止めてくれる人たちが、きっといるはずだと。

 (つづく)


 
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 本日の1曲は「ローズ」です。アメリカ映画「ローズ」の主題歌で、ベット・ミドラーが歌いました。訳詩は別府です。

 

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この記事に対するコメント

リンク

私のブログの来訪者・・・ほんの少数ですが・・ご紹介したくて、リンクさせていただきました。<m(__)m>
お名前とブログ名はすでに紹介したのですが、開けない方が約一名いまて・・・
よろしくご了承ください。

今回のシリーズ、愉しく拝読しました。
文章力も、訳詞力も、凄いと感じ入っております。

草笛 #jSt4TPmo | URL | 2014/03/14 08:17 * edit *

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# |  | 2014/03/14 11:18 * edit *

ジャンルと普遍性と

拝啓 別府葉子様
いつも楽しいblog記事をありがとうございます。
このシリーズの記事を読んでいると、色々と触発されるものがあり、図々しくもコメントさせていただくことをお許しください。ひとりの素人音楽大好き人間としていつも感じていることがありまして、それは優れた演奏にはそのジャンルやスタイルを超えた普遍的な力や説得力があると感じています。シャンソンに無知な私でも、別府さんの音楽世界にそのようなエネルギーを感じ取るが出来ました。ジャンルのお話をされているのに、的外れな感想のようで大変恐縮しているのですが、そんな事を想ったりした次第です。季節がらご自愛ください。敬具

Symphony 2013/ マサキ #- | URL | 2014/03/14 11:56 * edit *

NoTitle

いつも洋子さんの活躍ブログの向こうから応援しています。
今回はシャンソンについて講義して頂いていますが、
私にとってもシャンソン=越路ふぶきさんでした。
あの方の愛の讃歌は、仕事から良く聞く機会がありました。
言語を初めて聞いたとき、その違いに驚いた物です。
その後ピアフのファンになってしまいました。
意味はわからないけど、彼女の歌声はすごいと思います。
洋子さんも『バラ色の人生』歌われるのでしょうか。
いつか本物のコンサートを見れるのを楽しみにしています。

takechan0312 #- | URL | 2014/03/14 17:14 * edit *

NoTitle

こんばんは~♪
日本の歌は無理やりジャンル分けしているようにも思います。
演歌という言葉自体は大正時代に街頭で歌った演歌師からきていると思うのですが、現在言われているのは「艶歌」ではないでしょうか。
大正時代のものとは本質的に違うように思えます。
簡単に言えば日本の流行歌は世相を反映する歌謡曲と呼ぶのが適当じゃないかと思います・・・・・
外国の曲のいいとこどりのもあれば、リズムだけロック調だったり、R&B調だったりというのが現実のように思えるのですが^^

まり姫 #8m8hig/. | URL | 2014/03/14 19:38 * edit *

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# |  | 2014/03/14 21:28 * edit *

成熟した聴き手~♪

 素晴らしい分析ですね…演歌の流行った時代をレコード大賞で答えをで凄いと…また感銘しました♪

 風を読める感性がお持ちの方でないと…情緒を唄えないのだと…「成熟した」その一言で社会の状況(音楽環境)を…そして本流に戻るが奥深い♪

ひでわく #oyUv4a/. | URL | 2014/03/15 13:01 * edit *

NoTitle

7話から遡行するかたちで読みました。それがかえって新鮮で楽しめました。当時のことを思いだしながら興味深く読ませていただきました。色々と刺激を受けました。
書きたいことが山ほどできましたが、僕の冗長な長文は別府さんの文章よりもきっと長くなりますから、書きたいのに書けないでいます。
もうすでに書きためた文章が5千文字文はあります。(笑)
なので、思うところを整理して自分のブログに載せようと思っています。その時はまた文章を転載させていただくかも知れません。ご容赦ください♪

たかのつめ #9GE0tqGA | URL | 2014/03/16 04:59 * edit *

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# |  | 2014/03/16 08:59 * edit *

The Rose

別府さんの言葉のThe Rose素敵ですね。

moyasdrill #qIDCG9k2 | URL | 2014/03/16 09:56 * edit *

NoTitle

はじめまして。
演歌の流行と高度経済成長時代の関係について、中村とうよう氏の「ポピュラー音楽の世紀」でも同じような事が書かれていました。都市生活者の増加に伴う故郷喪失感が演歌を求めたのだと。
ちなみに私は演歌ははっきり言って嫌いです。なのに私が演奏すると「あなたのその歌い方『演歌』だね~」と言われてしまいます。言語と音楽の根深い繋がりを感じます。

夢笛myu #- | URL | 2014/03/16 11:53 * edit *

Re: 草笛 さんへ

こんばんは。

いつもありがとうございます。

素敵にご紹介いただいたり、リンクしていただいたり、お世話になり、感謝いたしております。

今度ともよろしくお願いいたします。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/18 23:04 * edit *

Re: 鍵コメN さんへ

こんばんは。

「ローズ」にまつわる素敵なエピソードを教えていただきまして、ありがとうございました。

さらに喜んでいただける歌を歌っていきたいと思います。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/18 23:07 * edit *

Re: Symphony 2013/ マサキ さんへ

こんばんは。

とても勇気づけられるコメントをありがとうございました。

良いと感じて、心を動かされることに、理由はなく、説明もできないと思います。

別府は、良いものに出会うたび、そんなふうに感じます。

もし、別府の歌をそんなふうに感じてくださったなら、嬉しい限りです。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/18 23:12 * edit *

Re: takechan0312 さんへ

こんにちは。

takechan0312 さんが、越路吹雪さんの愛の讃歌をよく聴いていたというのは、意外な気もします。
あくまでイメージの問題ですが…

ピアフの凄いところは、説明不能ですね(笑)

「バラ色の人生」もちろん歌います。いつかライブでお聴かせしましょう。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/21 08:52 * edit *

Re: まり姫 さんへ

こんにちは。

え、大正時代の演歌?

演歌師って、浪曲師みたいなものでしょうか?

演歌のルーツについて特に考えてみたこともないですね。ちょっとびっくり。

街頭で歌うって、どうやってたんでしょう。学生時代の別府がやってた街頭ライブ的なもの?ちがいますよね(笑)

別府葉子 #- | URL | 2014/03/21 09:15 * edit *

Re: 鍵コメA さんへ

こんにちは。

お気に召していただいたようで、たいへん嬉しく思います。
ありがとうございました。

お申し入れの件、もちろん了解です。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/21 09:18 * edit *

Re: ひでわく さんへ

こんにちは。

過分なお褒めにあずかりまして…

逆に、え、そ、そうですか、なんてドギマギしてしまいます(笑)

今後ともよろしくお願いいたします。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/21 09:23 * edit *

Re: たかのつめ さんへ

こんにちは。

既に、5000文字分ですか…(遠い目)

たかのつめ さん、ホントに長いお話がお好きみたいですね(笑)

と思ったら入院されているんですね。お大事に。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/21 09:37 * edit *

Re: 鍵コメR さんへ

こんにちは。

お気遣いをいただいているのでしょうか?

コメントのご趣旨が分かりかねました。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/21 09:46 * edit *

Re: moyasdrill さんへ

こんにちは。

ありがとうございます。

甲府は、友人が住んでいて、何となく親しみのあるところなのです。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/21 09:56 * edit *

Re: 夢笛myu さんへ

こんにちは。

「都市生活者の増加に伴う故郷喪失感が演歌を求めた」なるほど、そういう解き方もあるんですね。面白そうなので、中村とうようさんの「ポピュラー音楽の世紀」読んでみたくなりました。

「言語と音楽の根深い繋がりを感じます」の一文の、とほほ感、ごめんなさい、ちょっと笑ってしまいました。

コメントありがとうございました。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/21 10:06 * edit *

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