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別府の考え ~ シャンソンとは ~ その6 

 昭和の生んだシャンソンの大スター、越路吹雪さんのお話が続きます。
 いまでも人とシャンソンの話になったとき、しばしば聞かれるのが「わたしはシャンソンのことはよく分からなくて… 知っているのは越路吹雪さんぐらいですねぇ」といった言葉です。
 調べてみると、越路吹雪さんが亡くなられたのが1980年、今から34年前ですが、今もシャンソン界には、この方を超えるスターが現れていないということです。
 シャンソンというものを世間一般に広め、強くアピールした第一人者として、越路吹雪さんの名は不朽のものとなっていると思います。

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 ただ別府は、越路吹雪さんの大き過ぎた存在が、現在の日本のシャンソンの低迷の原因となっている側面があるのではないかとも考えています。

 前回書いたように、別府は、香川日仏協会のシャンソン講座の講師を務めたのですが、やがて、この講座を実質的に引き継ぐ形で別府葉子シャンソン教室が生まれ、発表会なども何度も開催してきました。
 そうした折しばしば、この曲を越路吹雪さんが歌ったバージョンで歌いたいと申し出てくる生徒さんがいらっしゃいます。
 生徒さんがやってみたいことを、実現するためにお手伝いするというのが別府の方針でしたから、そういう方には、その通りにして差し上げました。
 生徒さんが持ってくる音源から越路吹雪さんの歌を聴きとり、譜面に起こして伴奏者と打ち合わせ、アドバイスをして、後は本人に練習してもらう。
 実際、とても上手に越路吹雪さんのコピーをされるような方もいらっしゃいました。
 そして、そういう方の歌が、聴衆から、大きな拍手を受けるということもあります。

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 ただ正直に言って、別府には、そういう方々の歌が、どうしても魅力的だとは感じられないのです。
 本当は、もっと魅力的に歌えるはずなのにな、と思ってしまうのです。
 越路吹雪さんを巧く真似れば真似るほど、どこか作り物めいて、曲が本来持っているはずの輝きが感じられなくなってしまうのです。
 最初のうち、どうしてそんなふうに感じるのか、自分でも、その理由がよく分かりませんでしたが、今は、その理由が分かっています。

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 1つには、楽曲のアレンジのせいだと思います。
 越路吹雪さんが歌ったシャンソンの数々にみられる、あの独特のアレンジは、越路吹雪という強烈な個性を持ち、圧倒的なオーラをまとった、天性の表現者が、あの時代に歌ったからこそ、その個性と才能を際立たせ、眩いような煌めきを感じさせたのです。
 あのアレンジは、いわば他の誰にも扱えない「越路吹雪仕様」だったわけです。
 天才であった大スターが去り、そして時代が流れ、誰にも使いこなすことの出来ないアレンジだけが残ったわけです。

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 そしてもう1つの理由は、何のために歌うのかという問題とかかわります。
 越路吹雪さんのように歌いたいという人には、往年の大スターの面影に、自分の姿を重ねてみたいという願望があり、そしてまた、これに拍手する聴き手の側には、往年の大スターの思い出を懐かしみ、これを楽しむという気持ちがあります。
 ここでは「越路吹雪さんのように歌う」という行為は、往年の大スターの思い出や面影を記憶の中から甦らせるための装置、スイッチとなっているに過ぎないのです。
 それは、素晴らしい歌を歌いたいと願う気持ち、歌う喜びにひたりたいという衝動、音楽を楽しみたいという願い、そういったものとは、少しだけ違うところにあるように別府には思えます。

      MC900423852.jpg

 ただ、こういった傾向は、実はシャンソン界全体に、あるのではないかと思うのです。
 つまり偉大なカリスマであった越路吹雪さんのイメージは、年月を経てもなお色あせず、衰えてもおらず、様々な形で大スターの影響が、今も色濃く残っています。
 それはシャンソンの本質とは直接関係のない、いわば「越路吹雪的なもの」が、今も至るところに残っているという意味でもあります。
 そのお蔭でしょう、日本のシャンソンには、昭和の頃からのファンだという方々がたくさんいらっしゃいます。
 でも逆に、若い方でシャンソン好きという方には、あまりお目にかかりません。
 シャンソンのコンサート会場でお客様の大半が60歳代~80歳代(そして9割が女性)という光景は当たり前です。
 新しい若いファン層を取り込む魅力を欠いた音楽に、どんな未来があると言えますか…

 (つづく)


 
 いつも応援をいただきましてありがとうございます。

 別府葉子フェイスブックページも開設しております。よろしくお願いいたします。

 本日の1曲は「枯葉」です。

 

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# |  | 2014/03/10 16:12 * edit *

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# |  | 2014/03/10 19:01 * edit *

NoTitle

自分の頭の中であやふやだったのが
スッキリしました(^-^)

kagawa3 #- | URL | 2014/03/11 06:26 * edit *

NoTitle

訪問者リストよりまいりまいした~
ありがとうございます。
動画、拝聴させていただきました!
ステキですね♪
また、寄らせていただきます。

さゆこ #- | URL | 2014/03/11 09:24 * edit *

窓から見た最初の景色が♪

 深いお話しです…シャンソン…溢れる感性を唄いだして…楽しく読ませていただいております♪

 接する時にきっと思い出すお話しです♪

ひでわく #oyUv4a/. | URL | 2014/03/11 09:49 * edit *

シャンソンファンですがーーー。

 このところ、実に為になって、面白い「連載」です。とこで、私、若い頃からシャンソンファンですが、越路さんの唄は好きではありませんでしたし、滅多に聞きませんでした。あれがシャンソン?という感じです。と、こういう人間もいるというこで。

感動人 #CRSHTEAU | URL | 2014/03/11 12:05 * edit *

NoTitle

こんばんは~♪
私はクラッシック音楽から入ったので、恥ずかしいけど日本人歌手はほとんど知りませんでした。
BS放送ではじめて在りし日の越路吹雪さんを知ったくらいです(^^;
シルビー・バルタンやフランス・ギャルなら知ってましたが、シャンソンの神髄を知ったのはやはりエディット・ピアフですね^^
越路さんの歌唱はやはり宝塚の影響が大きいのではないでしょうかσ(゚ー^*)

まり姫 #8m8hig/. | URL | 2014/03/11 18:59 * edit *

洋子さんの考えに大いに納得しています。
滅多に聞くことはありませんが、
越路さんは偉大な方ですが、あくまでも越路吹雪のシャンソンなのだと思います。
シャンソンの本当の良さが人々に浸透しないもどかしさ
シャンソンの本質をよく理解しておられるからこその
思いが感じられてとても考えさせられる内容です。

ユッカリン #- | URL | 2014/03/11 23:18 * edit *

NoTitle

私のブログ「古い日記のページ」にアクセスいただきありがとうございました。別府さんがシャンソン歌手として活躍しておられることを初めて知りました。私もシャンソンが大好きで、昨秋、パリに7泊した折も、「枯葉」を口ずさみながら街を歩きました。1935年ごろ自宅にあったレコードで「巴里の屋根の下」「サセパリ」に親しみ、1953年、銀巴里で、丸山明宏のシャンソンに感動した昔からのファンです。これからも、「葉子通信」にアクセスして、You Tube も楽しませていただきます。

五十嵐 貞雄 #- | URL | 2014/03/12 08:03 * edit *

Re: 鍵コメ さんへ

こんにちは。

別府は、シャンソンを歌うことが多いので、シャンソン歌手を名乗っていますが、あんまりシャンソン界にいるという自覚はないです(笑)

そんなに知り合いもいないし。

人は結局、自分が思うようにしか生きられない、それが別府の結論です。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 14:09 * edit *

Re: 鍵コメM さんへ

こんにちは。

ありがとうございます。歌手・別府葉子、感激でございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 14:12 * edit *

Re: kagawa3 さんへ

こんにちは。

お役にたてて幸いです。

なんだか、ユニークな味わいのあるブログですね、kagawa3 さん。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 14:19 * edit *

Re: さゆこ さんへ

こんにちは。

いらっしゃいませ~

お気に召していただいたようで嬉しく思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 14:20 * edit *

Re: ひでわく さんへ

こんにちは。

ありがとうございます。

ひでわく さんのブログも、ますます快調ですねー

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 14:29 * edit *

Re: 感動人 さんへ

こんにちは。

趣味や嗜好は、人それぞれですね。

いろいろなご意見があって当然だと思います。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 14:32 * edit *

Re: まり姫 さんへ

こんにちは。

表現者としての越路吹雪さんのベースにあるのが舞台女優越路吹雪なんだろうな、という気はしますね。

その意味で、宝塚歌劇団の影響は、とても大きなものなのだろうなと思いますが、実際のところ、別府は、宝塚歌劇団のステージを観たことがないので…

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 14:44 * edit *

Re: ユッカリン さんへ

こんにちは。

ユッカリン さんのコメントをいただくと、いつもとても気持ちがゆったりします。

とても人の気持ちの分かってくれる優しい友人に、うん、うん、と相槌をうちながら話を聞いてもらっているみたいな感じでしょうか…

いつもありがとうございます。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 14:47 * edit *

Re: 五十嵐 貞雄 さんへ

こんばんは。

ずいぶん長いシャンソン歴ですね。

少しテイストが異なる別府のシャンソンもお気に召していただくとよろしいですが…

よろしくお願いいたします。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 18:31 * edit *

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