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別府の考え ~ シャンソンとは ~ その4 

 前回記事からの続きです。
 「シャンソンはフランスの演歌である」という誤解が、一般に流布するようになってしまった、2つめの理由とは…

 別府の考えによれば、それは日本に輸入されてきたシャンソンが、曲自体、元の曲とは少し違ったものになってしまったからです。
 日本で紹介されてきたシャンソンは、その多くが、日本語詞(または日本語訳詞)を付けて歌われました。
 フランス語のままでは、馴染みにくいですからね。
 ですから原曲と、歌詞が変わっているのは当然なのですが、変わるのは、実は歌詞だけではありません。
 テンポ、リズム、メロディーまでが変わっているのです。

     MC900434409.jpg

 演奏者の好みによるアレンジという部分はあるでしょう。
 ただ別府には、それよりも、もっと本質的な理由から、リズムやメロディーが変わっているように思えます。

 外国語の原曲に、日本語詞をつける場合、どう歌うかを示すために、音符に日本語詞を割り振る作業をします。
 この作業、実はなかなか難しいのです。
 日本語の歌というのは、基本的には、1つの音符に、1つの音(文字)が割り振られています。

 sakura_2014030600223247c.jpg

 これに対してヨーロッパ言語の歌は、1つの音符には、1つの単語または音節が割り振られるのが基本です。

 DSC_3150_20140306002234d6e.jpg

 したがってヨーロッパ言語の歌は、日本語の歌よりも言葉数が多くなりますし、特にフランス語の歌では、その傾向が強いように感じます。
 曲が饒舌とでも申しましょうか。
 ですからフランス語をそのまま日本語に直すと、音符が全然足りない(笑)

 onpu06.jpg

 もちろん問題はそれだけではありません。
 文章の構造、子音と母音の種類、発音の仕方、アクセントの付け方等々、日本語とフランス語は、まったく異質と言ってよい言語です。
 そのため、もともとフランス語で作られた曲に日本語詞を付けると…
 歌詞がフランス語から日本語に置き換わっただけで、曲自体が別のものになってしまうのです。
 日本語を付けたシャンソンを、その原曲と同じように歌うことの方がむしろ難しくなってしまう。逆に日本語に合うように、テンポ、リズム、メロディーを変えて歌う方が、むしろ自然だと言えるかもしれません。
 昭和の時代に日本に輸入されてきたシャンソンが、原曲とは、大きく異なるアレンジで歌われた最大の理由は、これだと思います。

 hume08.jpg

 そして、昭和の時代に日本に輸入されたシャンソンが、どんなふうにアレンジされたのか。
 具体的には、曲ごとに違うと言うほかありませんが…

 文節の冒頭に来るアクセント、強いビブラート、タメをつけるような歌唱などなど。
 別府は、そこに演歌の影響を感じます。

     MC900442026.jpg

 大人の恋をインパクトをもって歌うという目的をもって、ヨーロッパの曲に、日本語詞を移植しようとすると、その時代に隆盛を誇った歌謡曲であり、しかも情感や情念といった近しいテーマを主要なテーマとしていた演歌を意識するのは、ごく自然なことだったのではないでしょうか。
 いや、無意識のうちに、そうなったのかしら。
 だって演歌は、日本語を歌うとき、ごく自然に歌える歌唱法の1つなのですから。 
 いずれにしても、別府は、昭和の「シャンソン」に、かすかな演歌の香りを感じるのです。

 これが「シャンソンはフランスの演歌である」という誤解が、一般に流布するようになってしまった、2つめの理由だと思います。

 (さらにつづく)


 
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 本日の1曲は「ラストダンスは私に」フランス語バージョンです。この曲、もともとはアメリカのリズム&ブルースの曲ですが、フランス語バージョンもあるので、いちおうシャンソンです(ただ大ヒットしたのは英語版の方なので…)。そして原曲は、男性の立場からみた曲のようで。

 

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この記事に対するコメント

NoTitle

はじめまして。Michiruと申します。いつも楽しいブログをありがとうございます☆
仰る通り、仏語は日本語とまったく違う抑揚ですから、曲の感じも違うものになりますよね。

仏語の曲を英語にしてもやっぱり違いますよね。英語と違って仏語は二重母音が禁止で、アンシェヌマンとリエゾンで「タタタン…☆」とつないでいくので、あの独特の抑揚になるのでしょうね…☆

日本語では禁止のアンシェヌマンを入れれば、フランス語っぽく歌えるかな…と思いましたが、逆に、それはもう日本語ではなくなってしまいますね☆

Michiru #segmB7wU | URL | 2014/03/06 21:38 * edit *

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# |  | 2014/03/06 22:10 * edit *

NoTitle

 別府さんこんにちは 別府さんのブログ拝見してシャンソンについてや訳詩の難しさについて理解が判ってきました。 太陽のようなイラストも楽しい いつかりんご村でコンサートできればなんて思ってみたりもしています。 これからも楽しみにしています。

エスポワール #- | URL | 2014/03/07 12:55 * edit *

はじめまして

別府様
初めまして。山猫軒です。いつも素晴らしい歌声を聴かせて頂いておりました。(PCで)今日ようやく三枚のアルバムが届きました。これで我が家の酒宴に欠けていたものの一つ、<歌>が添えられます。
今年は東京でライブの予定とのこと、楽しみです。
当然麗しの君と一緒に参ります。

山猫軒 #- | URL | 2014/03/07 13:15 * edit *

(・_・D フムフム

こんばんは

日本のシャンソンは演歌だ・・
仰ってる意味
すごくよく解ります
言語自体が違うし
文化も違うし
時代背景も違う
まぁでも日本語のシャンソンも
「歌」であると言う観点からは
それもアリかなと思っています
ただ確かに適切な日本語を
置くのは困難ですね
ですから多分大抵の日本語訳は
アウトラインやイメージをなぞって
いるだけになってしまうんでしょうね
中には全く別物の世界になってる
歌もありますが
日本人には「シャンソン」の定義が広すぎて
特定できずフランスの歌は
フランス語っぽく歌うと
どれもシャンソンになるんでしょ(^^;

僕だけの印象かも知れませんが
昔のフランス語はアクが強くて
今のフランス語はよりソフトに都会的に
なっているように聞こえるのですが
生き方の違いなんでしょうかねぇ・・

まっとし #G3xv5MFg | URL | 2014/03/07 21:30 * edit *

NoTitle

去年中国語を勉強していまして、テレサ・テンの歌が、中国語訳がつけられていましたので、それを練習したことがあります。日本語よりはやく発音しなければならないので、苦労したことがあります。
シルビーバルタンは昔よく聞きましたが、彼女の歌もシャンソンなのですね。シャンソンに対するイメージが変わった感じです。

しりビン #- | URL | 2014/03/07 21:36 * edit *

日本のシャンソン

戦後高校生のころ(第3回卒業)ラジオから聞こえてくるシャンソンに魅了された一人です。そのころは歌謡曲化していないシャンソンでした。
別府さんの「ラストダンスはわたしに」うっとりと聞いています。

piroko #x1oUUJhA | URL | 2014/03/08 06:30 * edit *

なるほど~(^^;;

読ませていただき目からウロコ状態でした(^_^)v
翻って、ど演歌に慣れた身にとってはAKB始め最近の歌は理解困難になりつつあります。
「一つの音符にセンテンスが載ってる」感じが氾濫し歌えない、弾けないみたいな、、、、

AKBミドル #F4YKq7CA | URL | 2014/03/08 10:14 * edit *

Re: Michiru さんへ

こんにちは。

あ、フランス語がお得意とお見受けしました。

おっしゃること、よく分かります。

結局、原曲のイメージを日本語で表現するとは、どういうことなのか、という問題に戻ってくるのですよね~

コメントありがとうございました。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/08 16:50 * edit *

Re: 鍵コメ さんへ

こんにちは。

曲をとても素直に感じて聴いてくださっていることが伝わってきて、大変うれしく思います。

今年も9月には東京でコンサートをやりますので、よろしくお願いします。

コメントありがとうございました。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/08 16:57 * edit *

Re: エスポワール さんへ

こんにちは。

あ、りんご村でのコンサート、いいですね。

きら~くな感じで、ご近所の方々とかがいらっしゃって、こんばんはーなんて。

グッドです。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/08 17:01 * edit *

Re: 山猫軒 さんへ

こんにちは。

アルバムのお買い上げありがとうございます。美味しくお酒を召し上がれ。

東京ライブでお待ちしております。喉の奥でゴロゴロいいながら(笑)歌わせていただきましょう。

コメントありがとうございました。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/08 17:22 * edit *

Re: まっとし さんへ

こんにちは。

古い映画の中に出てくる日本人の日本語がすごく明瞭で美しいのに比べて、現代の作品の中の日本語は、ときに聞き取りづらかったりします。

若者言葉となると、意味が分からなかったり、イントネーションが変わっていたり。

フランス語も同じかな、と思ったりします。

コメントありがとうございました。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/08 17:30 * edit *

Re: しりビン さんへ

こんにちは。

練習中の外国語で歌を歌う、語学の習得方法としては、かなりハードな練習ですねー

中国語は分かりませんが、イメージとして、かなり饒舌な言語のような印象がありますね、確かに。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/08 17:36 * edit *

Re: piroko さんへ

こんにちは。

さらに前の時代のシャンソンとなると、別府には、もう分からないです、ごめんなさい。

そちらは、まだまだお寒いと思います。温かくしてお過ごしくださいませ。

いつも、ありがとうございます。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/08 17:44 * edit *

Re: AKBミドル さんへ

こんにちは。

演歌、いいですね~

別府もカラオケで歌ったりします。みんな盛り上がります(笑)

別府葉子 #- | URL | 2014/03/08 17:45 * edit *

NoTitle

聞きなれたメロディーもフランス語になると印象が変わりますね。そういえばDee Dee Bridgewaterなる女性歌手が英語とフランス語をミックスして歌っているLa Belle Vie と言う曲が好きで良く聞いていました。これはシャンソンの枠には入らないのでしょうが・・・

soukenko #- | URL | 2014/03/11 18:44 * edit *

Re: soukenko さんへ

あ、Dee Dee Bridgewater さん。

ずいぶん英語なまりの強いフランス語だなと思っていたのですが、もともとアメリカ生まれで、アメリカで活動されていた方だったのですね。

フランスで活動してて、フランス語で歌っておられたので、普通にシャンソン・シンガーと認識していました。

La Belle Vie と言う曲に記憶はないのですが、シャンソンでいいんじゃないでしょうか…

例えば一部に英語の歌詞の入っている日本のポップスがあるように。

別府葉子 #- | URL | 2014/03/16 14:38 * edit *

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