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悲劇の連絡船 

 先日、連絡船うどんの店をご紹介する記事を書いたときのことですが…
 記事の中で、今はもうなくなってしまった宇高連絡船のことに触れながら、しきりに気にかかったことがありました。
 宇高連絡船は、むかし事故で沈んだことがあるというお話が、記憶の底から、ふいによみがえってきたのです。
 瀬戸大橋が開通する以前、四国から本州に渡るための主要手段だった、この連絡船には、別府も、子供のころ何度も乗ったことがありましたが、別府が知る限りでは、この連絡船で事故が起こったことは1度もありませんでした。でも、この連絡船が、遠いむかしに沈んだことがあるという話は、確かに、どこかで聞いたような記憶があったのです。
 確かめてみなくては。

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 「悲運の紫雲丸」
 この本を図書館で借りてくることになったきっかけは、そういうことでした。

 宇高連絡船は、確かに沈んだことがありました。
 今から60年近く前、1955年(昭和30年)5月11日のことです。
 高松港を出港した、上り第8便「紫雲丸」は、濃霧の中、下り153便大型貨車運航船「第三宇高丸」と衝突し、午前6時56分、女木島西方の海域で沈没。この船に乗り合わせていた、修学旅行中の児童生徒ら100名を含む168名の犠牲者を出す大惨事となっています。
 何と言えばいいのでしょうか、このころ坪井栄の名作を映画化した「二十四の瞳」が大ヒットした影響で、四国への修学旅行は一種のブームのようになっていたそうです。

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 この事故を取り上げたドキュメント作品「悲劇の紫雲丸」は、自らの運命を知らないまま、運命の日を迎えようとしている何人もの子供たちや、教師、乗組員、そしてその家族たちの日常を描いています。
 運命のとき、大混乱のなか、家族に手渡す喜びを夢見て旅行かばんの奥深くに仕舞い込んだ宝物のような土産物を取りに船室に駆け戻り、逃げ惑う人々に突き飛ばされる子供ら、そんな子供らを救い出そうと狂騒する教師ら、容赦なくなだれ込み襲いかかる海水…
 わが子を亡くした父、わが子を亡くした母、夫を亡くした妻、父を亡くした子ら、そして目の前で海にのまれる教え子を救うことができなかった師。残された者たち、生き残った者たちにとって、悲劇は終わったわけではなく、その後の人生が続きました。

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 この事故をきっかけに、宇高連絡船の安全対策には抜本的な改革がなされます。他方で、一気に盛り上がった本四架橋の機運は、33年後に瀬戸大橋開通によって結実しますが、その前日に最後の航海を終えるまで宇高連絡船には、2度と人身事故は発生しなかったわけです。

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 ただ、この紫雲丸、1955年にこの大惨事に遭遇する前の1950年にも、やはり宇高航路を就航中に衝突事故を起こして沈没しています。1955年の沈没は、この船にとっては2度目の沈没だったのです。
 1950年の沈没のときは貨物船としての運行だったため、乗客はのっておらず、犠牲者は7名にとどまっていますが、これは犠牲者の数の問題とか、乗客の有無の問題ではないように思えます。
 1955年の事故の後にとられた対策が、1950年の事故の後ただちに、とられていたらと考えずにはいられません。
 悲劇が発生したときに、これを繰り返さないために、何をなすべきか、これは私たちが、何度も何度も突きつけられ、そして今も突きつけられている問題です。
 自戒を込めて、合掌です…

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 現在の高松港付近からのぞむ瀬戸内海。写真左端の島影が女木島です。


 
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この記事に対するコメント

宇高連絡船

宇高連絡船は、私も乗った記憶があります。
事故が遭った事は知りませんでした。

我が故郷は高知県です。
何年も帰郷してはおりませんが、
ブログを読ませて頂いて、
四国の香りをかいでいます。

surprise365 #KtOtvm9U | URL | 2013/11/03 00:47 * edit *

痛ましい事故でしたね、

この事故は良く覚えています、四国から関西に行くにはこの航路が一番の行程でしたからねー

そのころに青函連絡船の洞爺丸?違ったかな、沈没事故があったのでは? なぜか事故が重なって起きた記憶があります、

橋ができて便利になり事故も少なくなりましたね、
私は良く利用するのでたすかっています。

khiroe 弘瀬 #OmEQ3VCk | URL | 2013/11/03 06:06 * edit *

こんばんは
はじめまして。

私は出身が近くなので、
書いて下さった記事に親しみを感じます。

ただ、連絡船の事故のことは、知りませんでした。
忘れてはいけませんね。
本は探して、私も読んでみたいと思います。

またご訪問させて頂きますね。
携帯からで、すみません。

結依 #- | URL | 2013/11/03 23:07 * edit *

初めまして

いつも訪問ありがとうございます。
初めてコメントさせて頂きます。

私も四国と岡山を何度も行き来した記憶があります。
私の場合は宇高国道フェリーです。
紫雲丸が沈んだ話は聞いていました。(これはJRの連絡船だったのですね。)
というか、瀬戸大橋を架ける事業の説明館のような施設(橋の記念館?)に
学校から行くことがあって、その時、その話を聞いたような気がします。
橋を架ける理由と、その大変さを物語った施設でした。
事故から架橋まで33年もの時間が必要だったのですね。
その橋も架かって25年目ですね。
何年かかっても、忘れてはイケナイ記憶です。

おばさん会社員 #- | URL | 2013/11/03 23:09 * edit *

初耳でした。
宇高連絡船でのうどんは本当に美味しかったです。
痛ましい事故も忘れられつつありますが、
自分の中では少し懐かしさもあります。

ヘタリカ #- | URL | 2013/11/05 17:09 * edit *

初めまして!
いつもご訪問頂きありがとうございます。

紫雲丸沈没の件は、よく覚えて居ます
当時、私は岡山に住んで居て宇高連絡船をよく利用していました
新聞に大々的に報じられましたよ!
忘れる事の出来ない悲惨な事故でしたね。

よしみ70 #- | URL | 2013/11/05 21:36 * edit *

はじめまして。
いつも訪問ありがとうございます。
そしていつも楽しく拝見しております。

自分も修学旅行で四国に行った(瀬戸大橋の完成後)ので他人事の気がしないです。
事故の直前まで級友との幸せな時間を過ごしていたと考えると、余計に悲しみが増します…。

その後33年間も犠牲者なく運航を終えたんですね。何事も本気で対処すれば犠牲をなくせるという教訓とすべきだと思います。

KARO #- | URL | 2013/11/06 00:24 * edit *

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# |  | 2013/11/06 04:32 * edit *

Re: surprise365 さんへ

宇高連絡船は、もう無くなってしまいましたが、高松と神戸を結ぶフェリーなどは今も運行してますよね。

1度乗ってみたいなーと思っています。今は寒いから、ちょっと止めとこうかな、って感じですけど。

温かくなったら、デッキの上で、潮の香りを吸ってみたいな~

別府葉子 #- | URL | 2013/12/22 14:49 * edit *

Re: khiroe 弘瀬 さんへ

そうですか、たいへん衝撃的で大きなニュースだったのでしょうね。

調べてみると、たしかに青函連絡船の事故も、同じような時期に発生しているみたいですね。

安全というものに対する考え方が、時代によって大きく変わっていることを感じます。

別府葉子 #- | URL | 2013/12/22 14:58 * edit *

Re: 結依 さんへ

こんにちは。コメントありがとうございます。

自分の生まれ育った田舎っていいですよね~

離れて何年経っても、なんか特別です。

別府葉子 #- | URL | 2013/12/22 15:06 * edit *

Re: おばさん会社員 さんへ

こんにちは。コメントありがとうございます。

「瀬戸大橋を架ける事業の説明館のような施設(橋の記念館?)」にすごく興味を惹かれてしまいました。

どこにあるんでしょう、今もあるんでしょうかね?う~ん、調べてみよっと。

別府葉子 #- | URL | 2013/12/22 15:12 * edit *

Re: ヘタリカ さんへ

こんにちは。

宇高連絡船うどん体験組のご意見ありがとうございます。

今はもう味わうことが出来ない味というところが懐かしポイントですね。

別府葉子 #- | URL | 2013/12/22 16:37 * edit *

Re: よしみ70 さんへ

こんにちは。

たしかに、リアルタイムでニュースに接した方には、忘れることの出来ない大きなニュースだったでしょうね。

とりわけ自分の身近で起こった場合には…

別府葉子 #- | URL | 2013/12/22 16:45 * edit *

Re: KARO さんへ

こんにちは。

あ、KARO さんは、瀬戸大橋を渡って修学旅行で四国に行かれたことがあるんですね。

四国で生まれ育った人間にとっては、何となく不思議な気がするとともに、ちょっと誇らしいような気もします。うふふ。

別府葉子 #- | URL | 2013/12/22 16:51 * edit *

Re: カギコメ さんへ

こんにちは。

コメントありがとうございました。

いつかライブ会場でお目にかかることが出来れば幸いです。

別府葉子 #- | URL | 2013/12/22 16:55 * edit *

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