坊っちゃんの謎ふかまる…
2012/05/07 Mon. 18:30 [本の話]
最近になってから、ある方から「坊っちゃんの苗字は『多田』ではないでしょうか」というコメントをいただきました。

ちょっとドキッとしましたね、「あれ、読み落としてたかな?」と思って。
でも調べてみて楽しくなりました。「考えたからといって何の得になるか分からないけど、面白いので真面目に考えてみる」ってなんか良い気分です。
匿名のコメント氏が「多田説」の根拠として挙げられた原作中の記載をピックアップします。
宿直中の坊ちゃんが生徒たちにからかわれてカンカンに腹を立てるくだりの一部なのですが…
「宿直をして鼻垂れ小僧にからかわれて、手のつけようがなくって、仕方がないから泣き寝入りにしたと思われちゃ一生の名折れだ。これでも元は旗本だ。旗本の元は清和源氏で、多田の満仲(注:ルビ「ただのまんじゅう」)の後裔だ。こんな土百姓とは生まれからして違うんだ。ただ智慧のないところが惜しいだけだ。」
あまり気に止めずに読み飛ばしてましたね…
ちょっと調べてみると、ここに挙げられている多田満仲とは、源満仲の別名で、貴族の中から発生した武家集団としての清和源氏の始祖ともいうべき人物のようです。
坊っちゃんが、源(多田)満仲を引き合いに出したのは、自分の苗字が多田であることに引っ掛けて、自分は清和源氏の末裔だと自慢したという可能性大いにありですね。うんうん。

(川西駅前の満仲公の像です)
でも別の見方もできますね…
原作は、多田の満仲にわざわざルビをふって「ただのまんじゅう」と読み替えています。
ダジャレですね。
漱石は、坊っちゃんのことを頭にくると元は旗本だとか、先祖をたどれば源氏の出なんだとか、いかにもうさん臭い血統自慢をして息巻くような、いささか軽薄で軽率な人物として描いているわけです。そしてそれを作中いたる所にみられるように、ここでも諧謔味をタップリまぶして表現したというだけで、「多田」にはダジャレ以上の意味は特にないのかもしれません。
つまり「俺は清和源氏の末裔だ」といった自慢は「俺の先祖はまんじゅうだ」と言っているのと変わらないよと、漱石が作中の坊っちゃんをカラカッているという構図ですね。

(愛すべき軽率の人)
正解が出そうにない問題がまた1つ発生!
だから人生は面白いのです。
「それは、ホンマはやな~」なんて意見がさらに出るのでしょうか…
うふふ…

いつも応援をいただきましてありがとうございます。
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この記事に対するコメント
NoTitle
坊っちゃん!もう50年前の青春時代に呼んだきり
さがせばどこかにあるかも?
楽譜なら確実に残しているのですが、
本などは貸し借りしていましたのではたして?
ちなみに私の先祖は村上水軍=海賊です。
なかなか
お今晩でわんこ 別府葉子さん
なるへそ!座布団3枚でしょう。
結着をつけず、未来の漱石文学者に譲る所、これが又良いですねぇ~。
アメリカの…音楽オーディション番組の記事
>断然フィリップ
たまたま素人の私も何度か視聴…フィリップが好い感じで傾聴…プロの方も同じとは何故か嬉しくなりました♪
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