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「いただきさん」 

 高松の別府のシャンソン教室に程近い小さな広場の一角で、いつも「いただきさん」を見かけます。
 「いただきさん」は高松の人なら誰でも知っていると思いますが…
 箱車の横に自転車を付けた独特のスタイルで、その日の朝に獲れたばかりの新鮮な魚介を行商しているおかみさんたちのことです。

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 「いただきさん」という呼び名…
 これは讃岐の地に落ちのびた平家の落人だった姫が、やがて地元の漁師と結ばれ、魚をいれた桶を頭の上にいただいた姿で、これを売り歩いたというミヤビな趣をもった伝説に由来すると言われています。

 別府が子供のころ「いただきさん」の姿は、街のそこかしこで見られるごくありふれた光景でした。
 うちの母も、よくいただきさんからお魚を買っていました。
 別府より、もっと年上の方のお話を聞くと、いただきさんが毎日のように、お勝手口から「今日はサヨリとってあるよ、刺身にしたらええわ」なんて声をかけてくれてたそう。
 もちろん、その場で三枚におろして刺身にしてくれたりするわけですよ。
 いただきさんが朝獲れた魚を届けてくれるわけですから、ピチピチの新鮮な魚は、高松の(あるいは香川県の)人たちにとっては、もっとも身近に、しかも安価に手に入る食材だったのです。

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 でも今では、そんないただきさんの姿を見ることができるエリアは数えるほどになってしまったようです。
 後を継ぐ人がいなくて、現役のいただきさんは高齢の方ばかりになっているとか…
 冬の寒さの中、夏の暑さの中で、重たい箱車をつけた自転車のペダルを漕ぎ漕ぎ、毎日、お得意さまのもとへ魚を届け、その場で魚をさばくという重労働の大変なお仕事ですからね。

 そして大量の商品を迅速に運ぶ物流のシステムが確立し、また冷凍技術などの進歩によって、日本中どこにいても、多種多様な美味しいお魚が手に入るようになった今、いただきさんは、その歴史的な使命を終えつつあるのかもしれません…

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 ただ別府は街角でいただきさんを見かけるとき…
 いただきさんを見つめる地元の年配の方々の視線に、自分たちが幼かったころ、日々の糧を家庭に届け、自分たちを育ててくれたいただきさんに対する感謝のまなざしが宿っているように感じられて、何か切ない思いがするのです。


 
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この記事に対するコメント

NoTitle

「いただきさん」 素敵な響きですね(*^_^*)
葉子さんの解説で 瀬戸内海でとれた 新鮮なお魚が…
おふくの頭の中で ピチピチッはねてますo(^o^)o

大森では 切り身が 一切れ400円?牛肉なみに高いです。
子供達が スーパーで お魚は切り身で泳いでいる~
なんて言い出す…説もありました(>_<)
近所で焼き魚を焼く においも あまりしません。
千葉や神奈川から 大きなかごをしょった行商のおばさん達の姿も
ここ数年で見なくなりました。

「いただきさん」は 心のふれあいの愛称なのですね♪
素敵なお写真を ありがとうございます(o^_^o)

ふくちゃん #- | URL | 2011/01/29 20:09 * edit *

そうですネ~

段々と昔に風情が失われていってますネ!
でも、しょうがないかぁ~ (>_<)

雅勒 #CU4vqk3E | URL | 2011/01/29 20:49 * edit *

NoTitle

行商のことを「いただきさん」というんですか。
昔から伝わる由緒ある呼び名なんですね。
私は詳しく知らないんですが、昔親父が自分で獲った川魚を
行商して売りさばいていたそうです。
今のように便利な車がない時代ですから、自転車で坂を登ったり、下ったり。大変だったようです。
行商から帰ると毎晩一杯。飲んだくれてたそうです。
そういう親父の姿は聞きたくありませんが、そのおかげで自分も大きくなりました。今は亡くなった親父に感謝してますね。

matsuyama #- | URL | 2011/01/30 14:53 * edit *

NoTitle

こんばんは。
いただきさんすてきです。新鮮なタイやイサキが見えます。
ゴルフでも有名な川奈ホテルゴルフコースではかなり高齢なキャディーさんがバックを肩で担いでくれてました。母親より高齢な女性に担いでいただくのは恐縮なかぎりです。そんな川奈も今では電動カートにバックを積んでます。時代の流れと共に様子は変わります。そんな切ない気持ちをみなさんに思い起こさせ、心振るわせるのが別府さんのお仕事ですよね。熊本楽しみにお待ちしてますからね。

あかちん #- | URL | 2011/01/30 19:58 * edit *

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