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愛の追憶 

 その写真を初めて見たのが、いつのことだったかは、もう覚えていません。
 ずっと昔のことでした。
 ただ、その写真が映し出している光景の異様さ、不気味な不快感に強いショックを受けた記憶は、いつまでも残っています。

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 ヨーロッパ風の広い石畳の道いっぱいに広がった、たくさんの老若男女が、こちらに向かって歩いてきています。
 先頭の中央近くを歩く1人の女性は、幼子を胸に抱きしめながら歩いています。
 おびただしい程の数の周囲の人々は、みな彼女に注目しています。
 異様なのは、幼子を抱いた彼女の頭が丸刈りになっていることです。彼女は、視線を胸に抱いた幼子の方に落とし、その表情は、必死に屈辱に耐えているように見えます。
 そして周囲の人々は、薄笑いを浮かべ、あざけりと蔑みの表情で、まるで彼女が泣き出すのを待ちかねているかのように、その顔を覗き込みながら、歩いています。

 この写真は、こちらの画像検索で、すぐに見つけることができます。

 この写真は伝説的な報道カメラマン、ロバート・キャパの撮影によるもので、彼の作品の中でも有名な1枚と言えると思います。
 彼の作品を公開しているウェブサイトを見ると、その写真は、何枚かの一連の作品の中の1枚であることが分かります。
 キャプションによれば…
 第2次大戦中、連合軍によってパリが解放された直後、パリでは、被占領下にあった際にドイツに協力的であった女性は警察に連行されて、頭を丸刈りにされるという屈辱的な罰を受けました。写真の彼女は、ドイツ人兵士との間に子供をもうけたフランス人女性で、彼女は、母親ともども丸坊主にされたあげく、辱めのために、街中を行進させられ、人目に晒されたということのようです。

 復讐心にかられた人間に、心のうちに潜んでいた獣性が露わになった、恐ろしく、そしておぞましい写真だと思います。

     MC900423856.jpg

 ダリダの歌ったシャンソンに邦題「愛の追憶」と呼ばれる名曲があります。
 原題は「Mein Lieber Herr」
 語学がお得意な方はお気づきかもしれません。シャンソンなのに、原題はドイツ語です。「私の愛しい貴方」といったほどの意味でしょうか。

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 そう、この曲は、大戦中、ドイツ人兵士を愛してしまったフランス人女性のことを歌った作品です。
 でも、そこに歌われている世界は、キャパがファイダーから覗いた世界とは、別のものです。
 「Mein Lieber Herr」は、キャパの写真の中では、辱めを受けている女性、そちら側から見た世界を描いています。
 誰も頼る者のない街で、自分を慈しみ守ってくれた優しかった彼は、ドイツ兵士だったという彼女の側に立ち、そっと彼女に寄り添うような視線で、彼女の運命の哀しみを切々と歌っています。

 別府は、自分なりの解釈で、別府らしく歌うため、自分で訳詞をつけてみました。
 スプリングツアーで、歌うつもりです。



 
 いつも応援をいただきましてありがとうございます。

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 スプリングツアー情報です。皆様方のお越しをお待ちしております。

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 今日の1曲は「ゲッティンゲン」です。

 
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