FC2ブログ
02 // 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. // 04

別府の考え ~ シャンソンとは ~ その6 

 昭和の生んだシャンソンの大スター、越路吹雪さんのお話が続きます。
 いまでも人とシャンソンの話になったとき、しばしば聞かれるのが「わたしはシャンソンのことはよく分からなくて… 知っているのは越路吹雪さんぐらいですねぇ」といった言葉です。
 調べてみると、越路吹雪さんが亡くなられたのが1980年、今から34年前ですが、今もシャンソン界には、この方を超えるスターが現れていないということです。
 シャンソンというものを世間一般に広め、強くアピールした第一人者として、越路吹雪さんの名は不朽のものとなっていると思います。

 kh03.jpg

 ただ別府は、越路吹雪さんの大き過ぎた存在が、現在の日本のシャンソンの低迷の原因となっている側面があるのではないかとも考えています。

 前回書いたように、別府は、香川日仏協会のシャンソン講座の講師を務めたのですが、やがて、この講座を実質的に引き継ぐ形で別府葉子シャンソン教室が生まれ、発表会なども何度も開催してきました。
 そうした折しばしば、この曲を越路吹雪さんが歌ったバージョンで歌いたいと申し出てくる生徒さんがいらっしゃいます。
 生徒さんがやってみたいことを、実現するためにお手伝いするというのが別府の方針でしたから、そういう方には、その通りにして差し上げました。
 生徒さんが持ってくる音源から越路吹雪さんの歌を聴きとり、譜面に起こして伴奏者と打ち合わせ、アドバイスをして、後は本人に練習してもらう。
 実際、とても上手に越路吹雪さんのコピーをされるような方もいらっしゃいました。
 そして、そういう方の歌が、聴衆から、大きな拍手を受けるということもあります。

 MP900402446.jpg

 ただ正直に言って、別府には、そういう方々の歌が、どうしても魅力的だとは感じられないのです。
 本当は、もっと魅力的に歌えるはずなのにな、と思ってしまうのです。
 越路吹雪さんを巧く真似れば真似るほど、どこか作り物めいて、曲が本来持っているはずの輝きが感じられなくなってしまうのです。
 最初のうち、どうしてそんなふうに感じるのか、自分でも、その理由がよく分かりませんでしたが、今は、その理由が分かっています。

    MC900437797_20140309225044f62.jpg

 1つには、楽曲のアレンジのせいだと思います。
 越路吹雪さんが歌ったシャンソンの数々にみられる、あの独特のアレンジは、越路吹雪という強烈な個性を持ち、圧倒的なオーラをまとった、天性の表現者が、あの時代に歌ったからこそ、その個性と才能を際立たせ、眩いような煌めきを感じさせたのです。
 あのアレンジは、いわば他の誰にも扱えない「越路吹雪仕様」だったわけです。
 天才であった大スターが去り、そして時代が流れ、誰にも使いこなすことの出来ないアレンジだけが残ったわけです。

 MC900222291_20140309225043f88.jpg

 そしてもう1つの理由は、何のために歌うのかという問題とかかわります。
 越路吹雪さんのように歌いたいという人には、往年の大スターの面影に、自分の姿を重ねてみたいという願望があり、そしてまた、これに拍手する聴き手の側には、往年の大スターの思い出を懐かしみ、これを楽しむという気持ちがあります。
 ここでは「越路吹雪さんのように歌う」という行為は、往年の大スターの思い出や面影を記憶の中から甦らせるための装置、スイッチとなっているに過ぎないのです。
 それは、素晴らしい歌を歌いたいと願う気持ち、歌う喜びにひたりたいという衝動、音楽を楽しみたいという願い、そういったものとは、少しだけ違うところにあるように別府には思えます。

      MC900423852.jpg

 ただ、こういった傾向は、実はシャンソン界全体に、あるのではないかと思うのです。
 つまり偉大なカリスマであった越路吹雪さんのイメージは、年月を経てもなお色あせず、衰えてもおらず、様々な形で大スターの影響が、今も色濃く残っています。
 それはシャンソンの本質とは直接関係のない、いわば「越路吹雪的なもの」が、今も至るところに残っているという意味でもあります。
 そのお蔭でしょう、日本のシャンソンには、昭和の頃からのファンだという方々がたくさんいらっしゃいます。
 でも逆に、若い方でシャンソン好きという方には、あまりお目にかかりません。
 シャンソンのコンサート会場でお客様の大半が60歳代~80歳代(そして9割が女性)という光景は当たり前です。
 新しい若いファン層を取り込む魅力を欠いた音楽に、どんな未来があると言えますか…

 (つづく)


 
 いつも応援をいただきましてありがとうございます。

 別府葉子フェイスブックページも開設しております。よろしくお願いいたします。

 本日の1曲は「枯葉」です。

 

スポンサーサイト



[edit]

trackback: -- | comment: 18