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 先週の週末のお話です。
 地下鉄に乗って、お使いに出掛けたときのことでした。

 地下鉄の車内で、空席に腰を下ろしてから、やれやれと顔を上げると、向かいはちょうど横一列に、並んで座った家族連れでした。

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 何かに似てるなーと思ったら、頭の形がちょっとタコヤキに似てるお父さん。
 お母さんは、同じように丸顔なのだけど、きれいで優しげな様子です。子供たちは3人です。全員が男の子、1番上のお兄さんが高校に上がるくらいかな、末っ子は小学校の2~3年生かしら…
 みんな、どこか面立ちがご両親に似ているので、一目で親子連れと分かってしまいます。

 小学生の男の子は、ずっと笑顔のままで、お母さんと熱心に話し込んでいます。
 お兄さんは、少し真面目な話をしているのでしょうか。お父さんの問いに答えるように、考え考え、ゆっくりと喋っているみたいです。
 お父さんが、何かからかうようなことでも言うのでしょうか、ときおり2人で笑ったりするのですが、笑うと目が糸のように細くなって、2つ並んだ笑顔が親子でそっくりです。

 1人、携帯ゲーム機に没頭していた眼鏡をかけた末っ子のチビちゃん。
 お兄さんの肩越しに、お父さんの手が伸びてきて、肩をたたきます。
 「ほら、もう着くぞ」
 顔を上げて、きょろきょろ辺りを見回してから、うなづいています。

 みなさん、普段着のような地味な装いですが、きちんと洗濯されていて清潔そうな感じ。
 笑い声や話し声が絶えない、明るい家庭が想像されてしまいます。物質的な豊かとは別のところにある「豊かな暮らし」のイメージです。

 駅に着くと、ご家族は銘々に立ち上がって、出口に向かいました。
 そのとき初めて、別府は、お父さんが片足を引きずっていて、片脚が、ご不自由なことに気づきました。
 何とはなしに、ハッとする思いでしたが、お父さんは、そんな別府の視線に気づくこともなく、末っ子の背中に、そっと手を置くように、小さいお子さんを気遣いながら、一緒に電車を降りて行かれました。

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 電車が走りだした後も、一家の姿が見えなくなるまで、つい、その後ろ姿を目で追っていました。

 このお話は、ただこれだけのお話です。
 でも、なんだか素敵な短編小説を読み終えたような、充実した清々しさを感じて、1人で笑顔になっていた別府でした。


 
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