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恐れるな! 

 オシムさんは、W杯南アフリカ大会の前に著した前著「考えよ!」の中で、こう予言しています。

 日本代表は、ベスト16に進むことができる、ただそのためには条件がある、その分岐点となるのは、彼らが「自分たちはできる」と信じること、つまり「自信」を持つことだと。

 実際には、日本代表は、気が遠くなるほどの忍耐とチョッピリの幸運によってもぎ取ったカメルーン戦の勝利によって獲得した「自信」を武器に1次リーグの残り2試合で素晴らしい奮戦ぶりを示して、ベスト16に進出して日本中に歓喜をもたらしてくれました。

 つまりオシムさんの「予言」は完全に的中したわけです。
 そのオシムさんが南ア大会の後で著した近著「恐れるな!」を別府は読みました。

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 この本の中でオシムさんは、南ア大会で日本代表がベスト8に、さらにはその先に進めなかった理由について、とても示唆に富んだ多くの指摘をされています。
 大きな原因としてオシムさんは、日本人のメンタリティに「責任感」が欠如していることを挙げています。
 もっとも、このように言われると多くの日本人は反発や違和感を感じるでしょう。でも次のように説明されると、とても納得できるのではないでしょうか。
 責任感の強すぎる人間は、失敗を恐れるあまり一切のリスクを回避してしまうようになる、でもリスクを犯さないサッカーに勝利はないのだ、日本代表の選手たちはパラグアイとの一戦で誰も勝利に必要なリスクを犯そうとせず、前線で孤立する本田選手1人にパスを預けてしまった。これは別の意味で、紛れもなく責任感の欠如を意味している。

 そしてオシムさんは個人のミスについて、その責任を明確にせよとも指摘します。
 責任の所在を全体の中に埋没させて、その帰属を曖昧にする日本人のメンタリティが、日本のサッカーの進歩を妨げている。どれが誰のミスであるかを明確にしない限り、選手は何度でも同じミスを繰り返す、だから間違いは正されるべきなのだ。
 局面において正しいプレーが何であるかを知って初めて、練習によってプレーの選択の的確性とプレー自体の精度を上げることができ、結果として「自分は何をなしうるか」を知ることもできるし、そしてそれが自信へとつながるのだ(という話なんだと思います、別府の理解によれば)。

 だから本書の中では選手の個人名を挙げて南ア大会でのミスを指摘したりもしています。
 でもね…
 そこで挙げられているのは本田選手であり、長友選手なのです。
 彼らは、いま日本で最も賞賛を受けている選手たちであり、またそのキャラクターから考えても、自分に対する批判をきちんと受け止めることができる選手たちですよね。

 逆に、本書の中で、現在の日本でサッカー選手としてあらゆる才能に溢れた最高の選手として挙げられているのは中村俊輔選手です。もう1度海外にでてチャレンジするべきだし、そうすれば、その力を証明できるはずだと激励されています。

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 オシムさんは、南ア大会で最も深い失望を味わったのが誰で、最も深く傷ついたのか誰だったのか、それをリアルタイムで誰よりもよく理解していたのだと思います。

 この本は、どこを読んでも、オシムさんの透徹した知性と分析力、自分の言葉が人に与える影響を隅々まで吟味したかのような洞察力と慈愛にあふれた人間味が感じられます。

 はー、立派な人だなー
 ただただ脱帽です。


 
 いつも応援をいただきましてありがとうございます。
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